大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和47年(ネ)3077号 判決

本件請負契約においては、三棟の建物は、建売用の物件として、工事代金を一坪につき金八万円と定めてその建築が請け負われたものであるから、注文者である和田は完成された物件を坪単価八万円以上で売却して利益を収めようとしていたことは明らかであり、請負人である入倉も当然このことを知っていたものと認められる。かような点から考えると、工事代金を坪単価金八万円と定めた趣旨は、単に請負代金総額を算出するための基準単価を定めたというにとどまらず、坪単価金八万円以上で売却できるような建物を完成する趣旨、換言すれば、目的物件を、坪単価金八万円の客観的価値を有するものとして仕上げる趣旨の約定を含むものと解するのが相当である。

ところが、前認定のように入倉が仕上げた三棟の建物の客観的価値はたかだか坪単価金五万五〇〇〇円に過ぎず、契約で定められていたところよりはるかに価値の劣るものであったというのであるから、かような場合は、とりもなおさず、民法第六三四条にいう「仕事の目的物に瑕疵ある」場合に該当するものというべきである。

(白石 川上 間中)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!